あれは数日前、公園を散歩していた時だったと思う。
休日の賑やかな公園と打って変わって、平日の公園は静かだった。
主に高齢の方が日向ぼっこや運動、読書など思い思いの事をして過ごす、緩やかな時間が流れていた。
そんな公園で一際目立ったのが大音量で呼び込みをするキッチンカーだ。
嫌でも目を惹き付けられて、何を売っているのかを見ると、ホットドッグを売っているらしい。
よく来る公園に新しいものが来たと、興味をそそられてついついホットドックを買ってしまった。
見た目は普通のホットドックだが、食べてみると今までのホットドッグとは一味違った癖のある味だった。
しかし、なんだかその味を気に入ってしまい、腹も減っていたこともあり、2つめも注文して平らげてしまった。
きっとなにか隠し味があるに違いない。また食べたいと思い、店員に「いつもここで販売してるんですか? 美味しいですね」と尋ねた。
店員は作業する手を止めてこちらを一瞥すると、「残念ですが、この場所は今日で最後なんですよ」
「残念だなあ。もう一回食べたかったのに。なんて種類のホットドッグなんですか? この味を気にってしまいましたよ」
店員は微笑むと「お肉が特別なんですよ。気に入ったなら…」
急に、散歩中の犬が吠え出して会話は中断されてしまった。
飼い主が謝りながら犬を連れていこうとしても犬は動かないでキッチンカーに向かって吠え続けた。
なんとかして飼い主が犬を引き剥がすようにしてその場を立ち去ると、店員は忙しそうにほかの客相手に商売を再開していた。
作業を中断させるのも悪いと思い、その場を離れたが今となってはあの時店員が何を言いそびれたのかが気になって仕方がない。
また、あのホットドッグを食べたいなあ。