ある日、ブロックが好きな男のもとに、大きな段ボールが届いた。
中には大量のブロック、説明書、手紙が入ってた。
手紙にはただ一言、「とりあえず組み立てろ」というメッセージが書かれていた。
不審に思いつつ、彼はブロックを組み立てた。しかし、完成したものはあまりにも中途半端な感じだった。くだらないいたずらに引っかかってしまったかと思い、男は腹が立ったが、そのうち忘れてしまった。
そんな彼に、翌月も同じ段ボールが届いた。段ボールの中にはやはり、大量のブロック、説明書と、「とりえあず組み立てろ」という手紙だけが入っていた。
今回も完成しなかったが、どうせなら最後まで付き合ってやろうと男は重い、それからしばらく月一で届くブロックと手紙は男の密かな楽しみになった。
1年くらい続いただろうか、いつも通り届いた段ボールの中に入っていた手紙の文言が違うことに気づいた。
「今回で完成だ。完成したら覗いてみろ」
説明書通りにくみ上げたそれは今まで見たこともない形をしたオブジェクトだった。不思議な形をしているが、覗けそうな箇所があったので、手紙の指示通りにのぞき込んでみた。
覗いた先には今までに見たことのない風景が広がっていた。
見たこともない植物に、赤色に染まる空。その奥に見えるのは不思議な形をした建築物だった。
これは仮想世界を体験できる最新の機械だったりするのだろうか、それともどこか異国の動画でも見ているのだろうか。
ワクワクしながらいろんなところを除いていると、不意に画面が暗くなった。
どうしたのか思い、よくよく目を凝らすと、暗闇の中からにゅっと目が出現した。
悲鳴を上げることもできず、ただただその目を見つめていると、不意に目が笑ったように見えた・・・
と思った瞬間、目が消えて代わりに手がこちらに向かって伸びてくるのが見えた。
半狂乱になりながら、後ろに飛びのきながらそのブロックを手当たり次第にたたきつけ、ばらばらにしてしまった。
しかし、彼の心の中には、あの目の恐怖が残り続けていた。