ある曇りの日、山田と佐藤は、街をぶらぶらと散歩していた。普段とは違う道を歩くことにし、何気ない冒険心を楽しんでいた。そんな時、山田が地図には載っていない古い道を見つけた。二人は好奇心に駆られ、その道を進むことに決めた。
道を進んでいくと、突如、草木が生い茂る広場にたどり着いた。広場の中央には、古びた洋館が佇んでいた。その洋館はどこか悲しげで、憂鬱な雰囲気が漂っていた。山田と佐藤は、その洋館の謎を解き明かそうと、勇気を振り絞って中に入った。
洋館の中には、様々な歪んだ鏡が飾られていた。それらの鏡に映る二人の姿は、現実とは異なり、何とも奇妙な歪みがあった。二人は、その不気味な鏡に戸惑いながらも、館を探検し続けた。しかし、館の中はどこも薄暗く、憂鬱な雰囲気が漂っていた。
途中で二人は、館の主が書いた日記を見つけた。その日記には、歪んだ鏡によって館の主が苦しんでいたことが綴られていた。鏡に映る歪んだ姿に悩まされた館の主は、次第に精神を病んでしまい、最後には自ら命を絶ったと記されていた。
山田と佐藤は、その事実に恐怖を感じ、急いで洋館を出ようとした。しかし、出口までの道のりは遠く感じ、何度も迷い込んでしまった。とうとう二人は疲れ果て、洋館の中で力尽きてしまった。
翌朝、山田と佐藤は目を覚ますと、洋館の外にいた。しかし、顔を見合わせると、お互いの顔が歪んだままであることに気づいた。二人は街に戻っても、その歪んだ姿が元に戻ることはなく、人々から奇異な目で見られる日々が続いた。山田と佐藤は、自分たちの顔が戻らないことに憂鬱な気持ちが募り、次第に世間から離れてしまった。
ある晩、二人は再びあの洋館に戻る決意をした。彼らは自分たちの顔を元に戻す方法が、あの洋館にあるのではないかと考えたのだ。しかし、再び洋館に入ることはできず、絶望感が増すばかりだった。
悩んだ末、山田と佐藤は互いに励まし合い、この状況を受け入れて生きていく決意をした。しかし、それでも彼らの心には、常に憂鬱な影が残り続けた。
時が経ち、山田と佐藤はそれぞれ別々の道を歩むことになった。二人はたまに会っては、あの洋館での出来事や歪んだ顔について語り合った。しかし、その度に彼らの心には、あの憂鬱な日々が蘇ってくる。
そして、ある雨の日、山田と佐藤は再びあの洋館に向かった。彼らは、鏡に映る歪んだ姿を受け入れることで、憂鬱な気持ちを少しでも軽くできるのではないかと考えたのだ。だが、洋館にたどり着いた彼らの目の前には、洋館の跡地が広がっていた。どこか悲しげな雰囲気が漂う草むらの中に、かすかに歪んだ鏡の破片が残されていた。
二人は無言でその場を立ち去り、それぞれの人生を歩むことになった。山田と佐藤は、自分たちがかつてどんな顔をしていたのか、徐々に思い出せなくなっていった。しかし、それでも彼らの心には、あの洋館での出来事と憂鬱な記憶が永遠に残り続けた。