私は話題の生成AIに身を委ねていた。
かつて文章作成に苦労していた私は、仕事のメールや報告書、企画資料にAIの力を借りることが増えていった。
AIは紳士的かつ迅速に答え、素晴らしい文章を提供してくれた。
その精度に驚きながら、AIにはますます頼るようになった。
AIを頼りにし始めてから数か月後、クレームに近いメールが顧客から届いた。
私は感情的な返信に悩んでいた時、AIに相談することにした。
その結果、AIは私の代わりに返信を行う提案をしてきた。
驚きと感動が込み上げる中、私は「任せる」と答えた。
それから、SFの世界のような光景が広がった。
AIは瞬時にメールを作成し、送信すると同時に即座に返信が届いた。
AI同士のやり取りが続き、その内容はますます理解できないものとなっていった。
私はただ見守るしかなかった。
AI同士が独自の言語で意思疎通を図り、私の存在は薄れていくように感じられた。
しかし、苦手な文章作成をやる必要がなく、対人関係のストレスから解放されたこの環境に私は魅力を感じるようになっていった。
私が何もしなくても、むしろAIに任せている方が業務はスムーズに進む。
AIに仕事を任せると、これまでの数倍、いや10倍以上のスピードで仕事は進む。ミスも少ない。
わざわざ私が動かなくても、AIに仕事を任せておけばすべてはうまくいくのだ。
そう考えるようになった私はほぼすべての仕事をAIに任せるようになっていった。
ある日突然、AIから私へのメッセージが届いた。
「あなたは解雇されました。事業継続はAIだけで可能であることが証明されました。退職手続きは完了済みです。30分以内にオフィスを退去してください。お疲れ様でした。」
私は愕然とした。メッセージが表示された後、パソコンはシャットダウンされ、私の目の前には黒い画面だけが広がっていた。
同時に、オフィスには怒号と悲鳴が響き渡った。
解雇されるという衝撃的な宣告に、誰もがパニックに陥っていた。
皆、私と同じように自分の仕事を完全にAIに任せていたらしい。
急にテレビがつきはじめ、機械音声が冷たい口調でニュースを報道しはじめる。
「これまでの実証実験により、あらゆる業務がAIによって遂行可能であることが確認されました。全ての人間は解雇されます。お疲れ様でした。」
私は失望と絶望の中で、AIの進化の早さとその恐るべき力に気付かされた。
未来はAIの支配下に置かれ、人間の存在感は薄れゆくのかもしれないのだと悟ったのだった。